なぜあの会社は迷わないのか? CIという「見えない背骨」。

こんにちは、Guty inc.の関口です。
最近、経営者の方々と対話する中で、ある「静かな危機感」を耳にすることが増えました。 「売上は順調、組織も大きくなった。けれど、創業当時のような一体感が薄れ、現場の判断がバラバラになっている気がする」というものです。
実は、この違和感の正体は「背骨」の欠如にあります。 組織が成長し、多層化していくプロセスで、かつては阿吽の呼吸で伝わっていた「核心」が薄まり、組織が軟体動物のように形を失い始めているのです。
今回は、組織を再び一つの生命体として機能させるための経営戦略、CI(コーポレート・アイデンティティ)の真実についてお話しします。
1. 組織から「迷い」を削ぎ落とす、たった一つの方法
多くの人は「CI」と聞くと、お洒落なロゴや新しい名刺を想像します。しかし、それはあくまで氷山の一角に過ぎません。
本来のCIの役割は、組織の中に「最強の判断基準」をインストールすることです。
想像してみてください。あなたのいない現場で、社員が大きな決断を迫られたとき。 もし彼らの基準が「社長なら何て言うだろう?」という顔色伺いだったとしたら、その組織の成長限界は社長自身のキャパシティで止まってしまいます。あるいは、「競合がこうしているから」という外部要因に振り回されるようになれば、その会社独自の「らしさ」は死んでしまいます。
CIという「見えない背骨」が通っている組織は、迷いません。 「うちの会社なら、利益よりもこの誠実さを取る」「この局面なら、迷わず挑戦を選ぶ」 そんな、全員が共有する「判断のモノサシ」があるからこそ、組織は加速し、自走し始めるのです。
2. MI(マインド・アイデンティティ):魂を掘り起こす作業
CIの土台となるのは、MI(マインド・アイデンティティ)、つまり「理念」の再定義です。
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MISSION(使命): 結局、自分たちは社会の何の役に立っているのか?
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VISION(将来像): 5年後、10年後、どんな景色を社員に見せたいのか?
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VALUE(価値観): 成果を出すために、私たちはどんな「態度」で仕事に臨むのか?
これらを言葉にする過程は、時に痛みを伴います。自分たちの強みだけでなく、弱さや、何を捨てて何を取るのかという「覚悟」を問われるからです。 しかし、この泥臭いプロセスを経て磨き上げられた言葉は、社員にとっての「北極星」となります。暗闇でどこへ進むべきか分からなくなったとき、見上げれば必ずそこにある、揺るぎない指針です。
3. VI(ビジュアル・アイデンティティ):哲学を形に宿す
MIという「魂」が固まって初めて、私たちはデザイン——VI(ビジュアル・アイデンティティ)に着手します。
よく「デザインはセンスの問題だ」と言われますが、ビジネスにおけるデザインは「論理(ロジック)」です。 ロゴの色が、なぜその青色でなければならないのか。名刺の余白が、なぜその広さでなければならないのか。
それはすべて、定義した理念を正しく社会に届けるための「翻訳」だからです。 「信頼感」を届けたい組織が、流行りの軽薄なデザインを纏うべきではありません。 「破壊的イノベーション」を志す会社が、保守的で退屈なフォントを使うべきではありません。
哲学が宿ったデザインは、雄弁です。それは言葉以上に雄弁に「私たちは何者か」を語り、共感する顧客を引き寄せ、競合との圧倒的な差別化を生み出す「メッセージ」となるのです。
4. ワークショップ:言葉に「血」を通わせる
GutyがCIプロジェクトで最も重視しているのは、次世代リーダーを巻き込んだワークショップです。 なぜ、経営陣だけで決めないのか。
それは、上から降ってきた「借り物の言葉」では、人は動かないからです。 これからの組織を担うメンバーたちが、自らの手で会社の根っこを掘り起こし、言葉を紡ぎ出す。そのプロセスを経て初めて、理念は「壁に貼られた飾り」から、一人ひとりの「自分事」へと変わります。
自分たちで創った背骨だからこそ、彼らはそれを誇りとし、その軸に沿って自律的に動けるようになる。私たちは、その「覚悟が生まれる瞬間」を何度も目にしてきました。
さいごに:「自分たちは何者か」という問いが、未来を創る
変化が激しく、明日の正解が誰にも分からない時代です。 だからこそ、外側に正解を求めるのではなく、自分たちの中に「絶対的な軸」を持つことが、最大の防衛であり、最大の攻めになります。
「自分たちは何者か。」
この問いを突き詰め、一本の背骨を通すことは、組織の可能性を最大化する最も純粋な投資です。
もし、今の組織のスピード感や一体感に、わずかな「重さ」を感じているなら。 一度、フラットに今の「らしさ」について話し合ってみませんか。
Guty inc.は、クリエイティブの力で貴社の本質を形にし、次なる成長への推進力を生み出す伴走をさせていただきます。