1. HOME
  2. ブログ
  3. 事業開発に役立つ「PMDサークル」

事業開発に役立つ「PMDサークル」

ブランディングプロジェクトにおいて新規事業を開発する際やアドバイスをする時に必ずチェックしているポイントが3つあります。

それは「情熱」「意義」「需要」です。
情熱(Passion)、意義(Meaning)、需要(Demand)でPMDサークルと呼んでいますが、この3つの輪っかが重なっているかどうかを必ず確認します。


まず「情熱」です。
もし情熱がなく意義と需要だけの場合「絵に描いた餅パターン」を考えてみましょう。
ものすごく良いビジネスアイデアや商品アイデアが企画会議や世間話の中で出ることってあると思います。その場ではいいね!と大変盛り上がったものの、結果的には何も形になっていない、という経験はありませんか?社会課題を解決しながら、ビジネスとしても成立しそう、だけど形になっていない。この場合はシンプルに「情熱」が変けているケースに当てはまります。自身の人生をかけて、これをやり抜く!というレベルの情熱です。逆に言えば、絵に描いた餅を大量生産することなくして、人生をかけられるようなものに出会えることは無いと考えれば餅の数も必要と言えますが。

もう一つ別のケースを。実は私、10年ほど前に婚活イベントを主催していたことがありました。デザイン以外のことをやってみたいと思っていた時期があり、ちょうど少子高齢化対策(意義)が叫ばれ始めたタイミングで、ニーズ(需要)もあるのでこれは良いなと思い軽い気持ちで始めました。ただ、普通にやったら面白くないので、ある特定の趣味で集まる「趣味コン」に絞って行っていました。サッカー好きコン、映画好きコン、お酒好きコン、カラオケ好きコン、小説好きコンのような感じで、司会いらずなほど毎回盛り上がりました。またコラボの相談を頂き、地元企業さんや県内外の上場企業さんとも複数回イベントを開催しました。その後順調に軌道に乗るかと思いきや、ある日突然私の「熱」が冷めてしまい、参加を楽しみにしてくださる方には申し訳なく思いつつも開催の継続中止を決めました。その後の振り返りから、意義と需要は感じながら、なぜ自分がこの事業をやるのかわからなくなり、心の底から湧いて来るような情熱が無いことに気がつきました。一方で、紆余曲折はありつつも今でも続いてるデザインに関しては途切れぬ情熱があり継続しています。自身の経験を踏まえ、事業を始め、継続性を生み出す情熱は欠かせない重要な要素です。

次に「需要」です。
需要がなくて、情熱と意義だけはある「もう一頑張りパターン」。
端的に、需要がなければそもそもビジネスは成り立ちませんよね。
ただ例外はあります。直接的な売買は生まれないけど、社会的意義の高さから寄付等間接的なお金の流れが生まれる場合はあり、NPO等公益性の高い活動はここに当てはまるように思います。
もう一つ、需要が無いのではなくまだ需要が顕在化していない場合です。
ベンチャーと言われるスタートアップはここに当てはまるでしょう。
ボーディングメンバーはすべからく情熱に溢れています。革新的なサービスで世の中がもっと便利になる、そんな意義もありそうです。ただ、消費者はそのサービスを知らないので、需要はゼロです。なので、需要を生み出し新たなマーケットを創造する必要がありますが、それがベンチャーのベンチャーたる所以でしょう。需要はゼロと言っても、潜在的なニーズは見えている、もしくは課題が顕在化している状態であれば完全なギャンブルにはならず、新たな可能性を生みだすという点においてまさに「デザイン」の営みと言えます。

最後に「意義」がなく、情熱と需要がある「ダークサイドパターン」。
事例を挙げると、コロナ禍で急増したマスクの転売がこれに当たります。転売もある種の小型商社と捉えられなくはないと思いますが、行き過ぎると本当に必要な人や場所に届かない迷惑行為につながるので、社会的意義を失っていることになります。人の迷惑を顧みず儲けに走る情熱、その先には詐欺などの犯罪につながる可能性があり、結局継続性のある事業にはなりません。なので、この事業がどんな役に立つのか、喜んでもらえるかの「意義」も欠かすことのできない大切なポイントです。

こういった物差しのようなものは皆何かしら持っていると思うので、「私の便利グッズ」のような感覚で今回共有してみました。

関連記事