世界最強のデザイン会社
デザイン思考モデル「G-CID」におけるCID
Check→Idea→Do
を眺めてわかる通り、アイデアを生み出すためには、アイデアの素となる観察や調査が必要になります。
別の言い方をすると、チェックの質や量がアイデアに大きく影響し、デザイン思考の上で絶対に欠かせない要素になります。
そのことを示すように、世界のデザインスクールではリサーチを専門とした講座や学科が非常に重要なポジションを占めてきています。
一方でデザインをアートな領域で捉えるがあまり、日本ではリサーチに対する偏見はまだまだあるように感じます。
そしてよく聞かれるのが、スティーブ・ジョブズがマーケットリサーチを毛嫌いしていたという話。
ジョブズが必要ないと言っていたのだから、リサーチなどせずに直感に従えば良し、という論です。
では、その直感はどこからやってくるのでしょう。
天啓、神様からの啓示でしょうか。
否定はしませんが、基本的には意識的・無意識に自らの五感を通じてインプットされた情報、それが意識へのメッセージとなり、直感として知覚されます。
ジョブズも普通の人間として社会生活を送っていたはずです。
愛車のSL55を運転していた際は街の様子も目に入るでしょうし、毎日食べるものからも何かしらの情報がインプットされていたはずです。
これは立派なリサーチです。またジョブズの日本好きはよく知られ、京都の俵屋は定宿でした。
ジョブズが京における市中の山居で何を感じていたか、それは知る由もありませんが、おそらく人間の中にある普遍性や解像度の高さを感じ、それをインプット、結果として生まれたのがマッキントッシュやアイフォンだったのではないかと私は考えています。
つまりこれはジョブズ流のマーケーットリサーチだったのはないでしょうか。
確かにマーケットが既に答えを持っているかのような前提で進めるリサーチには抵抗がありますが、アイデアの素となる情報はマーケットに無限にあふれています。
よって、この情報を制することが今後のデザインの鍵を大きく握るわけですが、ではこの情報を最大規模で収集している企業はどこでしょう。
グーグル(アルファベット)ですね。
グーグルのミッションは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」です。
我々の多くはグーグルが収集した情報を素に、アイデアを生み、形にする、つまりデザインしていると思いませんか?
ウェブデザインにおけるSEO対策はその際たる例でしょう。
つまり、グーグルはデザインを生み出すプラットフォームをデザインした。
デザインを生み出す仕組みをデザインしている企業だと捉えることができます。
その意味において、世界最強のデザイン会社はグーグルであると私は考えています。
一昨年、グーグルがカナダ・トロントにて進めている未来都市構想の名称が発表されました。その名は
「IDEA」
全ての情報を収集する「IDEA」は世界最強のデザイン都市になる。そう考えて間違いないのではないでしょうか。